Zen mind, beginner's mind 鈴木俊隆(松永太郎訳)
「風の吹く日に松の枝が鳴る音が聞こえます。風は吹いているだけ、松は、風の中に、ただ立っているだけです。それが全てです。しかし、松の枝が風に鳴る音を聞いた人は、詩をつくり、またなにか普通ではないものを感じます。すべて、ものごとのあり方とは、そうしたものだと思うのです。」p118 自己を学ぶ
「Zen mind, Beginners' mind」は座右の書だ。この本は美しい禅解釈の本であり、我々を励ますための本でもある。読む度に大切なことに気付かされる。
引用は、結局人は多くの物語を生きており、その物語を生きるのが人生である、ということを端的に教えてくれる。多くのイメージと期待と落胆があり、喜び悲しみがある。徹底的に物語を気づき、物語から離れていくことが仏教なのだ。夢から醒めていくことだ。
以前禅定を目指して坐禅をしていた際の苦しい瞑想から救ってくれたのはこの本だ。テーラワーダの指導方法では瞑想の進歩が明確になっているが、瞑想が進まない場合それが苦しみとなってしまうことがある。求めるが、得られないという苦しみだ。行き詰まり。パーラミーという観点からの説明。
そういった観点からは道元禅師は限りなく修行者に優しく思い遣りがある。